終盤に「足を残す」ことだけを考えた球磨川リバイバルトレイルの172キロの旅
人生初の100マイルレースへの挑戦となった球磨川リバイバルトレイルの球磨川コースの旅。詳細は「球磨川リバイバルトレイルで人生初の100マイルレースを完走」をご参照いただければと思いますが、とにかく「完走」を目指して走りました。
これまでの最長のトレイルランニングのレースは110Kでした。それらのレースの経験を通じて感じていたのが、終盤に「足を残す」ことの重要性です。これはいろいろな方もおっしゃっていますが、タイムよりも完走!という私のようなレベルのランナーにとっては、とても重要なことです。私の場合、足が残っておらず、足が「売り切れた」状態になったときの症状は、前ももの筋肉がパンパンになって、カラダを支えることができない状態です。もちろん、足だけでなくカラダのいろいろなところが痛くなることはあるのですが、前ももの筋肉がこの状態になると、特に下りで走ることが困難になります。
このことは、トレイルランニングのみならず、ロードを100キロ超走るウルトラマラソンでも経験をしていました。初めて参加した富士五湖ウルトラマラソンで、「もう登りは終わりなので最後下り走ってゴールしてくださいね!」という沿道からの応援の声に、「いやー、下りが一番しんどいんです」と心の中で呟いていたことを今でも覚えています。
そして、足が「売り切れた」状態になると、なかなか復活しないことです。つまり、足が売り切れてしまうとレースの組み立てができなくなるということです。
余談となりますが、レース中に復活したことが今まではなかったのすが、初めて復活を経験したのは、球磨川リバイバルトレイルの残り20Kを切った地点の最後の山、高岳の下りでした。この経験は、いい学びとなりました。
足が「売り切れる」原因は下り
これは私の経験のみなので、汎用性の低いコメントですが、上記の定義での足が「売り切れた」状態になる原因は、下りでの飛ばし過ぎ、オーバーペースです。より正確を期すなら、足の負担のかかる走り方でのオーバーペースです。
下りでオーバーペースになると、どうしても前ももで身体を支えようという動きも生じます。この原因は私の下りの技術不足が大いに影響しているのですが、身体を前に進めようという力と身体を支えようとする力が逆方向のベクトルとして働く、簡単に言うとカラダが後ろに傾く傾向にあることが影響しています。怖がらずに足を前に出せばいいのですが、、、
というわけで、急な斜面、特にトレイルではオーバーペースになると私の技術では、足が「売り切れ状態」に直結します。なので、終盤まで足を残すためには、ペースのコントロールが必要になります。
「走れるところは走る。こまめに走る」がマイルール
他方、そうはいってもレースなので制限時間もあります。よって、走れるところは足を温存しながらも走る必要があります。私が自分で決めているルールは、「走れるところは走る、こまめに走る」です。
では、どこが走れる場所、走ってもいい場所なのか、が重要になります。
私の場合は、山と山をつなぐロード(めちゃくちゃ急な登りを除く)、トレイルの平地・緩やかな登りは「走れる場所」と決めています。
ときどきトレイルの下りをすごいスピードで駆け下りて行って、つなぎの平地のロードで歩いているランナーを見かけます。ロードでリカバリーをしているということかもしれませんが、私の実力ではそれでは完走できないです、、、
そうはいうものの、実はロードの下りも結構足にきます。下り続けるとどうしても前ももに負担がかかります。初の100マイルレースへの挑戦で、この課題をどのようにクリアするかを考えながら走っていました。ある種の実験です。
ガレ場の下りを走っているときに頭をよぎったロッカー機能
眠くて寒くて、と辛い80Kすぎの仰烏帽子山を過ぎて、宇那川林道を下っているときに、「このままだと足が持たないな、でも、77Kの仰烏帽子山登山口のウォーターエイドを先に出た人たちにもぜんぜん追いつかないし自分のペースが速すぎるわけでもないんだよな、、、」と思いました。
さて、どうしたのものか。
今までも同じようなことを考えてたこともあったのですが、眠かったのもあるかもしれません。ふと頭に「ロッカー機能」のことが浮かんできました。特に、ヒールロッカーのことが。
ロッカー機能については、「効率的な歩行をもたらすもうひとつの機能:ロッカー機能」をご参照いただければと思いますが、足の骨の形状を利用して、少ないエネルギーで効率よく体を前方移動させるための機能、です。
私の理解と実感では、足がキチン整っていれば、アンクルロッカーやフォアフットロッカーは自然と働くものです。よって、大事なのは、この一連の流れの初動にあたるヒールロッカーをしっかり働かせることなのです。
「ヒールロッカー」のことが頭に浮かんだ時に、「もっとヒールロッカーを活かせる走り方があるのではないか?」と思い、そして自分のシューズの中にはいっているNorthwest Superglass®のかかと部分(ヒールカップ)の形状と硬さについても考えを巡らせました。
そしてたどり着いた結論は、足を前に出す意識を極力減らす、そしてとにかくかかとから落下するようにしよう、というものでした。
この走り方に切り替えてからしばらくすると、明らかに前ももに負担が減りました。そして、更なる気付きは、未熟な私の下りの技術でこの走り方ができるのは、ロードの下り、林道の下りなど傾斜が比較的緩いところ、すなわち私の定義では「走れるところ」だということでした。
10K強続く林道をこの走り方で走っていくと、途中で77Kのエイドを先に出たランナーに追いつきました。彼らはこの林道は歩いて下って足をセーブするようでした。でも、私は足に負担を掛けない走り方で、むしろ走りながら足の回復・セーブを図ることができたのではないかと思います。
かかとから落ちるような走り方は、体に負担がかかるのではないか?というご懸念もあるかもしれません。他方、この走り方は、人間の足に本来備わっている機能である「ロッカー機能」を活用した走り方であるため、理屈大好きな私にとっては「理に適った」走り方なのではないか、と思っています。
ロッカー機能を最大化するNorthwest Superglass®の形状と素材
上述したNWPL社のファンクショナルオーソティックス®のNorthwest Superglass®について補足のご説明をいたします。
Northwest Superglass®は足の動きを最適化することを主眼に置き、アメリカ足病医学の下肢バイオメカニクス理論に基づき、開発・設計・製造されるフル・カスタマイズのインソールです。正確には、オーソティックス=足底版、と言いますが、医療用のインソールとご理解いただいて問題ありません。
このかかと部分(ヒールカップといいます)の形状は、かかとの骨の形状にフィットするように作られています。また、素材は宇宙工学でも用いられるカーボングラファイトをベースにNWPL社が独自に開発したSuperglass®を用いており、高い強度を誇ります。
結果として、ヒールロッカーの機能を補強し、地面からの力を吸収するのではなく、硬い素材により緩衝することで身体への衝撃は軽減しながら、地面からの力を推進力に変換する働きをサポートしてくれるのです。
このような気付きやNorthwest Superglass®のサポートもあり、無事人生初の100マイルの旅は怪我をすることもなく、完走することができました。まだまだ挑戦したいレースが沢山あるのですが、次は富士山麓を駆け巡るUTMF2022に挑戦をします!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。本コラムをお読みいただき、NWPL社のファンクショナルインソールおよびファンクショナルオーソティックス®にご関心・ご興味をもっていただいた方は是非、これらのプロダクトを熟知した足の専門家にご相談ください。トライアルサンプルで試し履きをいただき、そのサポート機能を実際に体感いただくことも可能です。
文/山縣茂信